いつでもどこでも美味しい羊肉が食べられるようになり、かつてないほどに羊肉の人気が高まっています。「味付ジンギスカン」は、ジンギスカン文化とともに全国へ普及し、各地域で独自の進化(味)を遂げ、地域の特産品としても人気になっています。
気軽に美味しく家庭で楽しめ、美食としてもっともっと注目されるべき「味付ジンギスカン」の認知向上を目指し、日本初の「味付ジンギスカングランプリ」を開催いたしました。
5月17日、「味坊集団」オーナーの梁宝璋ラムバサダーの協力のもと、足立区・六町の味坊工場にて、審査員6名による11時間にわたる全68商品の実食審査が行われました。本来であればジンギスカン鍋を使うのがベストでしたが、審査効率化を図るため網焼きでの実施といたしました。それでも、11時間もかかってしまったのは理由がありまして、甲乙つけがたい魅力的な商品が揃ったためでした。その中で数商品だけを選ぶのは非常に難しい審査となりました。
各商品、地元に愛されるには訳がある!と思わせたり、さすが、考えられて作られている!という物もありで、皆様のジンギスカンや羊肉に対する思いがひしひしと伝わってくる商品ばかりでした。審査員一同、この「味付ジンギスカン」という多くの方が作り育てて来た日本独自の羊肉文化の奥深さと、未来を感じる審査となりました。この気づきを、日本の味付ジンギスカン文化の底上げを行い、魅力を広めることにより、皆様に還元していきたいと考えております。
6名の審査員が実食し、評価の視点(下記参照)に基づき5段階(1~5)評価を行い、合計評点の比較により選出する。
2店舗以上が最高得点を獲得した場合など、同点で競合する場合は審査員間の協議により選定することがある。
実行委員会総評
表彰式において意義と総評をまとめたラムバサダーの菊池一弘が、文章として表彰式で話した総評をまとめました。味付ジンギスカングランプリの審査後の審査員の感想としてご覧くださいませ。
改めて味付ジンギスカングランプリの意義
羊肉が普及し、スーパーで気軽に買えるようになりました。そこで出て来る問題は「羊肉を家庭でどう食べたらいいのか?」という事。ジンギスカン以外羊肉の有名な食べ方がない事が現状です。しかし、家でジンギスカンをやる事は匂いもつくしなかなか難しい。
そこで、我々が改めて注目したいのが「味付ジンギスカン文化」です。味付でパックに入っており、量販店で冷凍販売されている、もっとも消費者に身近な羊肉です。解凍して炒めるだけでおかずにも、おつまみにもなるし、野菜と混ぜる、麺やコメと炒める、一緒に炊き込むなど日本のおかず文化の延長にあるのが、この味付ジンギスカンなのです。
冷凍で一気に仕入れて一気に加工できることもあり、食肉高騰時代向けのお肉でもあり、冷凍なので肉のロスが少ない次世代の商品でもあるのです。各地でオリジナルの味がある「地酒ならぬ、地ジンギスカン」があるのも面白い特徴です。
しかし、味付ジンギスカンは数百種類あるにもかかわらず、北海道はじめ一部地域以外ではあまり食べられません。身近だけどあまりよく知られていない「味付ジンギスカン文化」を、もっと多くの人に知ってもらいたい!という思いで、「味付ジンギスカン」グランプリを開催いたしました。
味付ジンギスカンに対する昔の「安い食べ物」のイメージはすでに過去の事。気軽に美味しく家庭で楽しめる美食として、もっともっと注目されるべきである!と考えています。
審査について
このグランプリは「優劣をつける」ためのものではありません。味付ジンギスカンの魅力を多くの人に広め、羊肉のおいしさを多くの方に知っていただくために開催します。また、企業開催のグランプリは試食なしの場合があったりもしますが、私たちは生産農家、生産企業に敬意を表して70商品すべて試食いたしました。グランプリは点数のトップを、各賞は各担当の推薦で決める形をとりました。
その時間は試食11時間。北海道出身者、その他の地域出身者、オーストラリア人と、まったく食の好みが違う審査員が審査。納得感と公平性にこだわり、特にグランプリ以外の各賞は2時間の議論の末審査の結果を出しました。甲乙つけがたい商品が多く、苦渋の決断的な側面もありました。
審査員が思った事
試食して思ったことは、醤油味に頼りすぎている事、甘みが強い事などが特徴であり、課題であると感じました。野菜と一緒に炒めて、ご飯のおかずとしては最高なのですが、食生活やライフスタイルの変化に合わせて、オールドファッションの良さを維持しつつ、「あまじょっぱい」から一歩踏み出した、新しい味付ジンギスカンをラインナップに入れることが出来たら、さらに味付ジンギスカンのすそ野は広がり、多くの人に愛される食品になると感じました。味付ジンギスカンの魅力が今後一部地域だけで終わるか、日本中で愛されるものになるかはこの点にかかっています。既存の味を維持しつつ、新しい味に是非挑戦していき、味付ジンギスカンの可能性をもっと伸ばしてほしいと思いました。
文責:羊齧協会代表 ラムバサダー
審査員 菊池一弘